介護付き有料老人ホームの費用

介護付き有料老人ホームの費用相場(入居一時金と月額利用料)

介護付き有料老人ホームは、本格的な介護を毎日受ける必要がある、原則65歳以上の高齢者のための施設です。
介護付き有料老人ホームに入居する際にかかる費用を大きく分けて、「入居一時金」と「月額利用料」があります。

以下は介護付き有料老人ホームの入居一時金と月額利用料の費用相場をまとめた表です。

介護付き有料老人ホームの費用相場

入居一時金 月額利用料
33万円 19.4万円

※数値はデータを大きい順・小さい順に並べたときに、中央に来る中央値です。

以下は月々にかかる費用の内訳です。

月額利用料の費用相場 (内訳)

賃料 管理費 食費 水道・光熱費 その他 (おむつ代、理美容代など)
6.3万円 7.3万円 5.3万円 0.2万円 0.3万円

※数値はデータを大きい順・小さい順に並べたときに、中央に来る中央値です。

入居一時金とは

以下の表は、介護付き有料老人ホームの入居一時金(相場)を平均値・中央値でまとめたものになります。

介護付き有料老人ホームの入居一時金(全国相場)

平均値 中央値
353.1万円 30万円

平均値とは:データの合計値をデータの個数で割った値です。極端に大きい値や小さい値の影響を受けやすいという特徴があります。
中央値とは:データを大きい順・小さい順に並べたときに、中央に来る値です。平均値のように、極端な値の影響を受けにくいという特徴があります。

介護付き有料老人ホームに入居するためには、必ずしも平均値の350万円近くの金額が必要となるわけではありません。
平均値は極端な値の影響を受けやすく、高級な老人ホームによって相場がつり上がっている可能性があります。

ちなみに、もうひとつの中央値は平均値と比べ、極端な値の影響は受けにくいです。
実際、上記の表では中央値:30万円と平均値:353.1万円を比べても、中央値は手の届きやすい金額となっています。

「入居一時金」とは、入居する際に支払う費用のことです。
介護付き有料老人ホームは民間事業が運営することが多いため、入居費用は基本的に、入居者側が全面的に負担する必要があります。
また、支払い方法は3種類に分類されており、選択した支払い方法によって、入居一時金の費用が異なります。

月額利用料とは

以下の表は、介護付き有料老人ホームの月額利用料(相場)を平均値・中央値でまとめたものになります。

介護付き有料老人ホームの月額利用料(全国相場)

平均値 中央値
34.3万円 19.7万円

「月額利用料」とは、毎月施設に支払う利用料のことです。

月額利用料には食費や管理費、介護サービス費などが含まれています。

介護付き有料老人ホームの入居一時金(支払い方式・償却)

入居一時金の支払い方式

入居一時金の支払い方式は主に以下の3つに分けられます。

・全額前払い方式
・一部前払い方式
・月払い方式

<全額前払い方式>
全額前払い方式とは、入居時に入居金(賃料)を全て支払う方式です。
入居時に全額を支払うので、入居後に家賃負担が発生しません。毎月の費用負担は大幅に軽減されますが、入居時にまとまったお金を用意する必要があります。

全額前払い方式の場合、入居期間の想定を行い、その期間分の賃料を全額前払いします。

もしも、想定入居期間よりも長く入居した場合は、追加で賃料といった費用が発生することはありません。

<一部前払い方式>
一部前払い方式とは、想定される居住期間の家賃合計額の一部を入居時に前払いする方式です。
全額ではなく一部のみの支払いなので、全額払い方式よりも支払額は少なめとなります。
しかし、毎月一定額の家賃が発生します。家賃の一部は入居時に支払っているので、支払っていない場合よりも毎月の家賃は安いです。

<月払い方式>
月払い方式は、入居時に家賃の前払いを一切行わず、本来の家賃額を毎月支払っていく方式です。

入居時の負担は少ないですが、月額利用料の金額が高くなる点には注意が必要です。

入居後に経済状況が悪化した場合、毎月の費用負担ができなる恐れもあります。その場合、入居の継続が難しくなるため注意が必要です。

入居一時金の償却

償却とは、入居時に支払った入居一時金を、入居年数に応じて少しずつ使っていくことです。
入居一時金は「前払いした賃料」なので、ひと月ごとに消化されていきます。
また、有料老人ホームでは、入居段階で「初期償却」が行われます。
初期償却は一定の割合で計算され、残りの額を毎月償却していきます。
もしも、償却期間が終わっていない間に退去することになった場合は未償却分が返還されます。

<初期償却の方法>
初期償却の割合は15~30%が一般的です。
初期償却があるときは、残額が均等償却されます。

残額部分を月単位の償却期間で割った金額が、毎月償却されます。

年単位でみると、残額部分を年単位の償却期間で割り、それが毎年契約月に償却されていくことになります。

<都道府県によって初期償却は異なる>
有料老人ホームの認可は都道府県単位で行われるほか、設置基準も各都道府県が独自に定めています。
そのため、同じ事業者が運営する施設でも、違う都道府県にあるというだけで初期償却する場合としない場合があることに注意しましょう。
なお、クーリングオフ期間内に退去したら、実費を差し引いた残額が返⾦対象額です。

<クーリングオフとは>
クーリングオフとは、一定期間に限り消費者が売買契約を無条件で撤回できる制度で、契約内容が不本意だった場合の消費者の保護を目的としたものです。
有料老人ホームについては、90日がクーリングオフの適用可能期間です。
施設に関係なく、90日以内に契約解除の申し出があれば、入居一時金などの返還に応じます。

なお、入居費用全額が返還されるわけではなく、入居した日数に応じた利用料や、施設内の原状復帰のために発生する費用が徴収されます。

以下はクーリングオフの流れをわかりやすくまとめた表です。

クーリングオフの流れ

商品を受け取っている場合の返品 支払っている頭金や申込金 損害賠償や違約金の請求
販売業者が負担 支払った金額は返金 支払う必要なし
入居一時金が0円の施設もある

有料老人ホームでは、「入居一時金」という形で賃料を前払いすることが多くなっています。
しかし、入居一時金が高くなることを避けたい人もいるのではないでしょうか。
そのため、多くの有料老人ホームが「入居一時金が0円」というプランを用意しています。

「入居一時金0円」は入居時にまとまった資金を用意できない方や、短期間の入居を考えている方にとってメリットの大きいプランと言えるでしょう。

介護付き有料老人ホームの月額利用料の内訳

以下は月額利用料に含まれる費用項目の一例をまとめたものになります。

・居住費
・管理費
・食費
・医療費
・上乗せ介護費
・日用品の購入費
・理美容費、自費でのサービス利用費

※賃料を全額前払い方式で入居時一時金に含める場合は、月額利用料に賃料相当分は加算されません。

施設によっては、法律で決められた基準以上のスタッフ数で介護を行う「上乗せ介護費」や、「水道光熱費」が必要になる場合もあります。

介護付き有料老人ホームでは、要介護度に応じた介護保険費自己負担分が毎月一定となることから、居宅介護サービスを利用する住宅型有料老人ホームよりは月々の介護保険自己負担分は事前に把握しやすいでしょう。

居住費

居住費は、賃貸物件の家賃にあたる費用のことです。
有料老人ホームに限らず、自宅以外の場所に住む場合には家賃を支払う必要があり、賃料の決め方も家賃と同様です。
そのため、有料老人ホームがある地域の家賃相場や設備の環境、居住スペースの広さやサービスの充実度によって、それぞれの施設に最適な居住費が決められます。

管理費

マンションの共益費のようなもので、共用施設部分の水道代や光熱費をはじめ、共用スペースの維持にかかる費用は管理費に含まれます。

老人ホームの場合は施設を管理する人の人件費なども含まれていることから、一般的なマンションの管理費よりも高額です。

さらに、洗濯や買い物代行といったサービス費用は、別途費用が発生する施設と管理費に含まれている施設があるため、あらかじめ管理費に含まれるサービスをチェックしておくことが大切です。

食費

朝昼晩の3食が提供される介護付き有料老人ホームでは、食事の費用に加えて、調理費、人件費なども食費に含まれています。
施設によって献立やサービス内容が異なることから、同じ介護付きでも費用差が生じやすいポイントなので注意しましょう。
例えば、食事は食べた分だけ請求する施設やプラス料金を支払うことで豪華なメニューに変更できる施設など、食事サービスには独自のルールを導入している場合があるので、入居前にご確認ください。

医療費

介護付き有料老人ホームに居住していても、病院に通って受診するケースや専門医の訪問診療が必要なケースがあります。
有料老人ホームの看護スタッフでは対応できない場合、追加の医療費がかかる可能性が高いです。

通院回数や医療内容によっては、利用料に含まれることもあるので、入居する施設のサービス内容をチェックしておくことをおすすめします。

日用品の購入費

共用で使用しない日用品に関しては、日用品費として個人で購入することが多く、例えば、オムツや歯ブラシ、個人で使うティッシュやタオル、シャンプーなどが挙げられます。
買い物代行をお願いしたり、家族が買ってきたりと補充方法はさまざま。
なお、あらかじめ購入しており、補充をした分だけ費用を請求する場合もあるので、利用する施設によって日用品の購入費に関するルールが違います。

上乗せ介護費

上乗せ介護費とは、簡単にいうと通常の介護サービスよりもさらに手厚いケアをしている施設にかかる費用です。
例えば、介護付き有料老人ホームで定められている人員配置の義務は、入居者3人に対して1人の介護スタッフの配置になっています。

この基準はあくまで国が定めた最低基準です。施設によっては要介護者2人対して1人配置するなど、国の基準よりも手厚い人員体制が整えているケースもあります。

このような国の基準以上の介護体制を整えるのにかかった費用を、入居者に対して請求するのが上乗せ介護費です。

横出しサービス費

「横出しサービス」は、利用者に提供する介護サービスのうち、介護保険の対象外となるサービスを指します。
例えば、買い物の代行や、規定回数を超えた通院付き添い、理美容サービスや自由参加の有料イベントへの参加費などが該当します。

ただし、老人ホーム側はこうした費用のことを「横出しサービス」とは呼ばず、追加でかかるサービス費用として記載していることも多いので注意しましょう。

介護保険サービス以外にどんなサービスがどのくらいの金額で受けられるかを知っておけば、入居後に追加料金を見てびっくり!ということも防げます。

介護保険サービスの自己負担額

以下は、要介護度別に設定されている介護保険の自己負担分の一覧です。

【介護度別】介護サービス費の自己負担額

区分 介護保険報酬 自己負担額 単位数
要支援1 5万4,600円 5,460円 5,460
要支援2 9万3,300円 9,330円 9,330
要介護1 16万1,400円 1万6,140円 1万6,140
要介護2 18万1,200円 1万8,120円 1万8,120
要介護3 20万2,200円 2万220円 2万220
要介護4 22万1,400円 2万2,140円 2万2,140
要介護5 24万2,100円 2万4,210円 2万4,210

※1単位=10円で計算
※上記は30日あたりの額面となります

介護保険サービスの利用にかかる費用「介護保険自己負担分」は、介護度が変わらない限り月々一定の金額となります。
介護付き有料老人ホームは月々の介護費用が事前に把握しやすく、家族や入居者にとっても安心です。
また通常の自己負担割合は1割ですが、所得が高い場合は2割または3割となります。

介護付き有料老人ホームに入居する際には、入居後に介護度が上がる可能性も視野に入れて、介護保険自己負担分を考えておくと安心です。

介護付き有料老人ホームを検討している方におすすめの施設

まずはじめに、介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・グループホームの違いを確認していきます。

各施設の費用比較(中央値)

施設種別 入居一時金 月額利用料
介護付き有料老人ホーム 30万円 19.7万円
住宅型有料老人ホーム 5.5万円 12.1万円
グループホーム 0万円 12.1万円
介護サービスの利用頻度が多い方は「介護付き有料老人ホーム」がおすすめ

介護付き有料老人ホームでは日常生活を支える介護体制、医療サービス提供体制が整っています。要介護度が高い方でも安心して生活できるでしょう。
また毎月定額で介護サービスを受けることができる点も特徴の一つ。あらかじめ介護サービス費が月額利用料に含まれていることから、どれだけ介護サービスを利用しても費用は変わらず、追加費用の心配も少ないです。

居宅介護サービス費が、特定施設入居者生活介護の定額を上回る可能性が高い方向けの施設です。

例えば、介護度の高い方で頻繁に訪問介護、訪問看護などのサービスを利用される方は、どれだけ介護サービスを受けても介護サービス費が変わらない「介護付き有料老人ホーム」の方が、費用面でお得になりやすいです。

必要な介護サービスだけを利用したい方は「住宅型有料老人ホーム」がおすすめ

「介護付き有料老人ホーム」の違いとして、住宅型有料老人ホームは利用した介護サービス費のみを支払う点が挙げられます。

毎月かかる居宅介護サービス費が、特定施設入居者生活介護の定額を下回る方におすすめの施設と言えます。

また、入居者同士でレクリエーション・イベントを楽しめる環境であることから、入居後に他の入居者とコミュニケーションを楽しみたい方は住宅型有料老人ホームがおすすめです。

認知症ケアを重視するなら「グループホーム」がおすすめ

グループホームでは、認知症の進行速度を遅らせるレクや認知症療法を受けることができます。
介護付き有料老人ホームとの違いとして、入居条件が挙げられます。介護付き有料老人ホームは要介護1以上であるのに対し、グループホームは要支援2から入居可能です。
また、グループホームは認知症ケアを専門とするスタッフからケアを受けられるのも魅力のひとつです。

入居後は最大9名で形成される「ユニット」の一員となり、ほかの入居者と共同生活を送りながら、認知症の進行を遅らせるケアを受けることができます。

そのため、そこまで介護サービスの利用頻度が少ない方や、認知症ケアに重点を置いている方におすすめの施設と言えます。

介護付き有料老人ホームの費用を軽減する制度

入居費用を安く抑える主な制度には以下のような種類があります。

・高額介護サービス費
・高額医療・高額介護合算療養費制度
・扶養控除
・障害者控除
・医療費控除
・生活保護

高額介護サービス費

特別養護老人ホームのような、介護保険制度の下で運営される介護施設に入居すると、毎月の自己負担額は少なくなります。
その割合は原則として1割、所得によっては2~3割となります。
これだけでも入居者の出費は少なくなりますが、それだけではありません。
この1~3割の負担額が一定額を超えた場合は、その分を支給してもらうことができます。
これが「高額介護サービス費」の主な仕組みです。

高額介護サービス費の制度を利用するには自治体の窓口で手続きをすることで、高額介護サービス費支給制度を利用できます。

なお、高額介護サービス費は基準が5段階に分かれています。月の負担額が基準を超えた場合は申請手続きを行うことで、超えた額を介護保険から支給してもらえることがあります。

<高額介護サービス費の対象者と負担限度額>
以下は対象者と負担限度額をまとめた表になります。

高額介護サービス費の負担限度額

課税所得(区分) 上限額 対象者
世帯全員が市区町村民税非課税、
前年合計所得金額+公的年金収入額80万円以下
1万5,000円 個人※1
世帯全員が市区町村民税非課税、
前年合計所得金額+公的年金収入額80万円以下
2万4,600円 世帯※2
生活保護受給者など 1万5,000円 世帯※2
世帯全員が市区町村民税非課税 2万4,600円 世帯※2
市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 4万4,400円 世帯※2
課税所得380万~690万円(年収約770万~1,160万円)未満 9万3,000円 世帯※2
課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 14万100円 世帯※2

※1.介護サービス費を利用したご本人の負担の上限を指します。
※2.「世帯」とは住民基本台帳上の世帯で、介護サービスを利用した全員の合計の上限額を指します。

高額医療・高額介護合算療養費制度

介護が必要な高齢者がいる世帯は、介護費用を継続して負担し続けなければなりません。
そのうえで、高額な医療費の負担が発生することもよくある話です。

このような経済上の負担を軽減するために制定されたのが「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。

この制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

・同一の医療保険に属する間柄であること
・医療保険と介護保険を、世帯内で同時に使っていること
・世帯の所得区分に応じて指定される、基準額(自己負担限度額)を超えること

条件に適合する場合は、1年間の介護保険・医療保険の自己負担額の合計額を計算してみましょう。
その額が指定された基準額より500円以上多ければ、差額を返還してもらえます。

なお、この制度では8月1日から翌年の7月31日までを1年間として数えます。

利用するためには、自治体の国民健康保険窓口で手続きが必要です。基準額や計算方法についても、窓口で詳細な説明を受けられます。

入居時に申請できる税額控除

介護付き有料老人ホームのような民間事業が運営する施設と、特別養護老人ホームのような介護保険制度の下で運営される施設とでは、税額の控除に大きな差があります。

ここからは、介護付き有料老人ホームの利用者とその家族が申請できる控除についてチェックしていきます。

<扶養控除>
「扶養控除」とは、養っている家族がいる場合に納税者が利用できる、税制上の優遇制度になります。
以前からこの制度を利用している場合は、有料老人ホームに入居してからも控除の継続が認められる可能性があります。

どのような人が、扶養控除を利用できるのかというと、「有料老人ホームで生活する家族の生活を支えていること」は重要な条件のひとつです。例えば、入居時にかかる費用を代わりに払っている場合は扶養控除の対象です。

また、扶養控除とあわせて覚えておきたいのが、老人扶養親族制度です。
老人扶養親族制度とは、本人と同居している方70歳以上の方に対して、通常よりも控除金額が増額される制度です。
なお、控除額は同居の可否や施設入居の有無によって異なるので注意しましょう。

<障害者控除>
要介護認定を受けている人が税法上の「障害者」とみなされると、「障害者控除」の対象となります。
障害者控除は、本人はもちろん、生計が同一である配偶者や扶養親族が障害者の場合も控除を受けられるのが特徴です。

高齢者の場合、要介護認定を受けると障害者控除の適用を受ける可能性があります。
例えば、要介護度3以上に達しているなら大半の地域で「特別障害者控除対象者」として認められます。

特別障害者控除を受けられる場合、控除額は40万円となります。
ただ、具体的な目安については自治体ごとに異なるので、居住地域の基準を最初に確認する必要があります。

<医療費控除>
医療費とは一定の額を超えた場合に、超えた額に対する税金が控除される制度です。

老人ホームに入居している場合でも、訪問診療のような医療サービスや医療行為を受けた場合は医療費控除の対象です。

また、有料老人ホームに入居中に発生したおむつの費用が医療費控除の対象と認められた事例もあります。

医療費控除の対象かどうかを判断するためには、入居中に支払ったサービスの領収書に「医療費控除対象」と記されているかどうか、確認してみましょう。

生活自体が厳しいので生活保護の申請を検討してみる

資産や収入の少ない高齢者が要介護状態に陥ると、施設への入居がままならないだけではありません。
だんだんと自宅での生活費にも事欠くようになっていく恐れがあります。

日々の生活を送ることさえ難しい場合は、生活保護の申請も検討に入れましょう。
生活保護の受給額で入居可能な施設もあるほか、生活保護受給者や住民税非課税者に適用される費用軽減制度もあります。

介護付き有料老人ホームに入居する前の準備

施設入居のための資金計画

年金だけで、すべての自己負担額をまかなえるという方は非常に少ないかと思います。
特に国民年金のみに加入していた方は、厚生年金の受給者と比べて金額面でかなり不利になります。

費用が不足している場合、一般的には、入居者本人の預貯金や家族の援助などで不足額を埋めていくケースが多いです。

このため、実際にどれくらいの負担を毎月背負うことになるのか、正確なシミュレーションを事前に行うことは非常に大事なことです。
資産を取り崩すのであれば「毎月何万円の負担を、何年繰り返すのか?」まで予想を立て、重荷にならない支払い方法を考えましょう。
手元の資産の効率的な管理運用なども検討すると良いでしょう。

推定居住年数を確認する

前払い方式で有料老人ホームと契約するときは、施設側が定めている計算方法にもとづいて料金が決まります。
前払い方式の契約書でよく見かけるのが「推定居住年数」でしょう。

推定居住年数とは、高齢者の平均的な入居期間をもとにして決められた基準です。

前払いする賃料は、この推定居住年数と月額の賃料を掛け合わせて決められるのですが、推定居住年数を超えて暮らす場合の賃料も含めて計算するのが一般的です。

体験入居するときのチェック項目

体験入居は一定期間だけお試しで施設に入居するというもので、多くの介護付き有料老人ホームで実施されています。

体験入居のメリットは、見学では分からなかった施設の実情を詳細に把握でき、入居先を決めるうえでの判断材料をより多く得られることです。

実際に体験入居を行うときのチェック事項は、以下の通りです。

・生活支援・身体介護サービスを利用し、内容が自分に合っているか
・早朝や夜間帯の職員数が足りているか
・トイレや浴室、さらに緊急通報装置など、各種設備は使いやすいか
・館内の音やにおい、室温などに異常がないか

介護付き有料老人ホームに関するQ&A

月額利用料を年金で払える施設はあるのか?

資産が少なく、さらに収入についても国民年金(基礎年金)だけという要介護者は少なくありません。
その場合は、国民年金だけで入居可能な施設を探すことになります。

国民年金は現在、満額でも月額10万円を大きく下回ります。そのため、年金だけで入居できる施設は多くありません。

資産が少ない場合、まず入居一時金を払う必要がない施設を探してみましょう。
その次に、月額の費用を年金でまかなえる施設を探すことになります。

高級な介護付き有料老人ホームはなぜ高い?

介護付き有料老人ホームの費用は、施設によって大きな開きがあります。
注目すべきポイントは、「なぜそれほど費用が高いのか」という理由です。
例えば、立地条件が良くて内装や外装に高級感があり、さまざまな生活支援サービスが提供され、さらに食事内容や娯楽設備が充実している施設だと、費用が高くなります。

医師と看護師が24時間常駐しているなど、医療体制を高度に整えているのも高額な施設に多いのが特徴です。

費用に見合ったサービスや設備をきちんと用意している施設であれば、入居後は満足度の高い生活を送れるでしょう。

介護付有料老人ホームって何?

介護付き有料老人ホームとは、日常生活支援や種類が豊富なレクリエーション、食事・排泄・入浴などの介護サービスを受けられる施設です。入居対象者は自立〜要介護5までと幅広く、看取りに対応した施設も増えています。

介護費用は月額いくら?

介護費用の平均額は8万円です。介護期間は平均54.5ヵ月で、介護期間から介護費の総額を算出すると、平均500万円となります。

介護施設の費用は誰が払う?

介護施設の費用は基本的に利用する人、すなわち親となります。年金や預貯金から支払いをしますが、不足した場合は子どものサポートが必要です。
家族で揉めないために前もって親の資産の把握、介護が必要となった場合の対応など話し合っておきましょう。

まとめ

・入居費用の支払いには主に3つのタイプ「全額前払い方式」「一部前払い方式」「月払い方式」がある
・入居するときに必要な費用には、「入居一時金」と「月額利用料」がある
・手厚い介護による費用は「上乗せサービス費」、保険適用外の介護による費用は「横出しサービス費」という
・助成制度や控除について詳しく知りたい場合は、地域包括支援センターなどで相談できる
・年金ですべての費用をまかなうのは難しいので、早めに資金計画を立てる
・老人ホームを検討するときは、体験入居するのがおすすめ

よくある質問

有料老人ホームの月額費用の相場はいくら?

介護付有料老人ホームが22.6万円、住宅型有料老人ホームが13.5万円です。

有料老人ホームには「介護付き」と「住宅型」があり、違いは介護サービスを提供しているかどうかです。
介護サービスが受けられる介護付き有料老人ホームでは、賃料(家賃)や食費、管理費とともに介護費用が含まれており、住宅型有料老人ホームよりも高い傾向にあります。

住宅型有料老人ホームは、介護サービスを提供していませんが、外部の居宅サービスと個人的に契約することが可能で、サービスを利用した分だけ月額利用料とは別に費用がかかります。

そのほか、日用品費やお菓子などのお金、理美容代、通信費など、趣味や嗜好品にかかるお金も必要です。

有料老人ホームの入居費用はいくら?

平均350万円です。

有料老人ホームの入居一時金は、0円の施設もあれば数千万円になる施設もあります。
差が大きいので平均額が高くなる傾向にありますが、ちょうど真ん中の金額である中央値をみると、介護付き有料老人ホームで30万円、住宅型有料老人ホームで5.8万円となっています。

また、入居一時金が高額な施設の多くでは、賃料や介護費の一部を前払いするシステムを採用していることが多いです。
平均余命などを参考に「想定居住期間」から入居一時金を算出しており、入居後に支払う月額利用料を安く抑えられます。

短期間で退去した場合は、未償却分の初期費用が返還されます。

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