サービス付き高齢者向け住宅の費用

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者が暮らしやすいように建物やサービスが設備された賃貸住宅のことです。 有料老人ホームと比較すると低額で入居できる施設が多いのですが、住まいと見守りサービスなどを提供する「一般型」と常駐スタッフから直接介護サービスが受けられる「介護型」では費用相場も異なります。

初期費用 月額費用
19.8万円 16.8万円

サービス付き高齢者向け住宅は、入居するタイミングで支払う初期費用と入居後に月々支払っていく月額費用の2つに分けられます。 初期費用の相場はサービス付き高齢者向け住宅の種類によっても異なります。 サービス付き高齢者向け住宅の種類は「一般型」と「介護型」に分けられます。 「一般型」のサービス付き高齢者向け住宅は一般の賃貸住宅と似た施設です。安否確認や生活相談サービスの提供が義務付けられており、施設内はバリアフリーとなっています。 一般の賃貸住宅と同様に敷金として家賃数ヶ月分の支払いを求められることが多いです。 サービス付き高齢者向け住宅のほとんどが一般型です。 「介護型」のサービス付き高齢者向け住宅は、一般型で提供される安否確認と生活相談サービスの他に、施設の職員から直接介護を受けることができます。「特定施設」という都道府県の指定を受けており、介護付き有料老人ホームと同等の介護サービスを提供しています。 そのため、有料老人ホームと同様に、入居時に数十万から数千万の入居一時金の支払いを求められることがあります。 初期費用の相場についてご説明しましたが、初期費用がかからないサービス付き高齢者向け住宅もあります。 また、「一般型」だからといって介護サービスを受けられない、というわけではありません。 介護が必要になったら、外部の事業者と契約をしてサービス付き高齢者向け住宅に住みながら介護サービスを受けることができます。 多くのサービス付き高齢者向け住宅で介護事業所を併設しているので、要介護になっても住み続けることは可能です。 実際に2022年現在、サ高住入居者の8割は要支援・要介護認定があります。

サービス付き高齢者向け住宅の費用構成

種類 契約形態 初期費用 月額費用 介護サービス
一般型 賃貸借契約 敷金として数十万円程度が相場。
礼金、更新料は不要です。
家賃と管理費で約5万円~25万円くらい。
家賃については周辺の賃貸マンション・アパートの相場に準じています
外部事業者と契約して介護サービスを受けます。
介護サービスを利用した分だけ請求されるので、月々の介護サービス費は変動します。
介護型 利用権契約が多い 入居一時金として数十万円~数千万円 家賃、管理費、食費として15万円~40万円程度かかります。 施設から直接介護サービスを提供されます。利用料は毎月定額です。

サービス付き高齢者向け住宅の初期費用の内訳

入居一時金

介護型は有料老人ホームのように入居一時金を求められるケースが多いです。 相場は数十万円~数百万円と施設によって差があります。 入居一時金とは、一定期間の家賃を前払いする意味合いのもので、月々の支払いから前払い家賃分が割り引かれます。 割り引きは退去まで適用されるので、月額費用を低く抑えることができます。 運営事業者は家賃分を預かる形になり、それに対して保全措置を取ることが義務付けられています。最高500万円までの保証となっています。 また、入居一時金には返還金制度が設けられています。 納めた家賃分の期間を償却期間とし、それを満たす前に退去となった場合は未償却分を返還するという内容です。

敷金

大半を占める一般型では、通常の賃貸借契約と同様に敷金として数十万円かかるところが多いです。0円のところもあります。 礼金、更新料は不要です。

保証金

敷金と同じ意味合いのところが多く、退去時に居室の修繕や原状回復に充当され、残りは返還されます。

その他にかかる費用

その他、別途費用としては、本人の身体状況やライフスタイルに合わせて下記のものが挙げられます。 月額費用は、本人がどんな暮らしにしたいかを想像して、別途費用まで含めた金額を想定しておくことが大切です。 <医療費、薬代> 診察費、薬代、通院にかかった交通費など <消耗品> 生活に必要な日用品や衛生用品(オムツ)など <オプションサービス> 清掃や洗濯などの家事代行、外出時の送迎など <介護サービスを利用した場合の費用> 介護保険サービス費の1割、または収入に応じて2割~3割の自己負担 <サークル活動やアクティビティーへの参加費> 材料費や講師料などの実費、参加費用

サービス付き高齢者向け住宅と老人ホームの費用の違い

施設の種類 初期費用 月額費用 その他費用 1年間総費用
サービス付き高齢者向け住宅 0~数十万円 10~30万円 3~10万円 150~500万円
有料老人ホーム 0~数千万円 15~40万円 3~10万円 220~1200万円

サービス付き高齢者向け住宅(一般型)は、有料老人ホームと比較すると初期費用を低く抑えられるのが特徴です。 月額費用も手厚いサービスの提供が少ない分低くなっています。 有料老人ホームはサービスが充実している分、初期費用・月額費用ともに割高になります。 実際はホームによる金額の差が大きいので、その内訳や根拠を確認して比較・検討する必要があるでしょう。

まとめ

一般型のサービス付き高齢者向け住宅は、初期費用が少なく、住み替えが必要になった場合の金銭的リスクが少ないので、急いで入居を希望する方でも選択肢として考えやすいです。 しかし、将来の備えとして考えた場合、一般型では不安要素が大きい施設もあるでしょう。 その場合は、介護付き有料老人ホームなどへの住み替えを前提として資金を準備しておきましょう。 介護型のサービス付き高齢者向け住宅を選べば住み替えの必要も少なくなりますが、その分費用もかかります。 どちらが良いかは経済的な条件も絡み一概には言えませんが、介護型は全体のわずか8.9%(※)しか存在しません。そもそも選択肢がないため介護型を狙って入居するのは困難といえます。 そのため、基本的には一般型が選択肢になるのですが、実は要介護者も多数入居しています。 施設探しの際は、介護度がより重くなったときや認知症の症状が進行した場合などを想定し、今入居している人で最も重い身体状態の方はどんな状態なのか、「退去要件」はどうなっているのかをよく確認しておきましょう。 介護の必要があまりなく、自分で食事を作るなど自宅に近い生活を希望していて、寝たきりになった時は、住み替えを考えるという方は一般型が良いのではないでしょうか。 一人暮らしが不安に感じている方や、少しの介護があれば、自分で生活できる方にとっては、サービス付き高齢者向け住宅を選択することは、希望される生活と合うかもしれません。 まずは一度、しっかりと見学をし、どんな生活を送れるのか話を聞いたうえで、自分にあった施設を選んでみましょう。

サービス付き高齢者向け住宅の費用

サービス付き高齢者向け住宅の費用は、入居時に払う「敷金」と毎月支払う「月額利用料」があります。

初期費用 月額利用料
0~27万円 11.1~20万円

初期費用

サービス付き⾼齢者向け住宅は賃貸住宅としての契約になるため、初期費用として、敷金がかかります。 敷金は一般的な賃貸住宅と同じで、退去時に修繕や掃除などをする際に必要な費用を渡すための金額です。賃料の1〜3ヵ月ほどで設定される敷金が多く、修繕費を使って残った金額は返金されます。 なお、介護型は初期費用に入居一時金が必要です。入居一時金とは、入居時に賃料をまとめて支払ったり、半額だけ支払ったりする方法です。 基本的には、一般型よりも介護体制の充実した介護型の方が、費用は高いです。

月額利用料

月額利用料でかかる費用には基本的に、以下のものがあります。

・居住費
・管理費
・水道光熱費
・生活サービスの提供費

このうち、居住費は設備や部屋の広さ、地域などによって大きく変わりますが、郊外よりも都市部の方が居住費は高めです。
一般型では外部の介護サービスを利用するため、介護保険料は自宅で訪問介護やデイサービスを利用したときと同じで、利用した分だけ費用を支払います。
介護型は特定施設の認定を受けているので、施設のスタッフから介護サービスが提供されます。
費用は要介護度に応じて一定の料金を支払います。

サービス付き高齢者向け住宅の費用相場と内訳

サービス付き高齢者向け住宅は、希望するサービスの利用によって費用が変わります。
ここでは、サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金や月額利用料の相場、費用の内訳を紹介していきます。

サービス付き高齢者向け住宅の費用相場(入居一時金・月額利用料)

入居一時金

入居一時金は賃貸で例えるところの「敷金」にあたる費用を指します。

サ高住の入居一時金(全国相場)

平均値 中央値
22.4万円 10万円

※平均値とは:データの合計値をデータの個数で割った値です。極端に大きい値や小さい値の影響を受けやすいという特徴があります。
※中央値とは:データを大きい順・小さい順に並べたときに、中央に来る値です。平均値のように、極端な値の影響を受けにくいという特徴があります。

なお、介護型の場合は以上の表よりも費用が高くなる傾向があるので、注意が必要です。
また支払い方式によって費用が異なります。

月額利用料

月額利用料とは毎月施設側に支払っていくお金のことで、食費や管理費、介護保険サービス費(自己負担分)などが該当します。

サ高住の月額利用料(全国相場)

平均値 中央値
16万円 14.7万円

月々の費用のうち、居住費は「居室の大きさ」「施設の設備」「地域」などによって左右されることが多く、一般的には都市部の方が高いと言われています。

サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金

サービス付き高齢者向け住宅の支払い方式

サービス付き高齢者向け住宅の利用料の支払い方法は大きく分けて、「月払い方式」と「前払い方式」の2種類があります。
支払い方式により月額利用料も変わってくるので、入居時にどちらの方式が合っているのか、以下でしっかりと確認していきましょう。

「前払い方式」と「月払い方式」を比較
区分 入居時負担 支払い総額 (短期間退去) 支払い総額 (長期間入居)
月払い方式 少ない 少ない 多い
前払い方式 多い 多い 少ない

<月払い方式とは>
月払い方式とは、入居時に家賃の前払いを一切行わず、毎月月額費用として家賃を支払う方式です。
入居のハードルは各段に低いですが、その分毎月の費用負担が大きいです。
なお、入居一時金0円で入居できるので、入居時にまとまった資金を用意する必要がありません。

<前払い方式とは>
前払い方式とは、入居中に発生する家賃費用を入居時に全額支払う方式のことです。この方式では、想定される居住期間を決め、その間に発生する家賃額を合計して支払います。
なお、前払い方式では入居後に家賃の支払いは必要ありませんが、入居時にまとまった資金を用意する必要があります。

<支払い方法を選ぶポイント>
支払い方式を考えるうえで抑えておきたいポイントが、短期間の入居であれば月払い方式がお得であり、長期間の入居であれば前払い方式がお得になる可能性が高いということです。
短期間で契約を終了した場合、トータルで支払う金額は初期費用が少ない月払い方式の方が少ないです。
一方、前払い方式は毎月の費用を入居時に支払っているため、短期間で契約を終了してしまうと支払った分を損してしまいます。
また長期間入居した場合は、月払い方式では入居時から変わらず定額を支払い続けることになるため、最終的に支払うトータル額は前払い金よりも高くなることがあります。
その点、前払い方式は想定入居期間を超えても追加の支払いありません。よって、長期間の入居を見込んでいる方は前払い方式の方がお得です。

保証金が必要になる場合もある

サービス付き高齢者向け住宅では入居一時金のほかに、初期費用として保証金を設けている施設もあります。
保証金とは、預かり金として入居時にかかる費用で、万が一、月額利用料が支払えなくなった場合に充てられます。
なお、月額利用料を漏れなく支払っている場合は退去時に返還されます。

サービス付き高齢者向け住宅の月額利用料の内訳

毎月固定でかかる費目

・賃料
・管理費・共益費
・水道光熱費
・安否確認・生活相談サービス利用料
・おむつ代(使用する場合)

これらの項目は入居前にパンフレットなどで確認できることから、事前におおよその費用を想定しやすいです。
賃料や管理費、共益費などは一般の賃貸住宅と同じく支払い額は毎月定額です。
また、サービス付き高齢者向け住宅(一般型)では安否確認と生活相談は必須のサービスとなっているため、その利用料は毎月必ず発生します。
上記のほかに、別途契約が必要となる食事サービスや外部の介護サービスなどを利用した場合は追加で費用が発生します。

<固定費は節約できる>
サービス付き高齢者向け住宅によっては、居室内に設置されているキッチンで自炊できる場合もあります。
自炊することで施設側が提供する食事サービスを利用せずに済むので、毎月の食費を抑えることができます。

<サービス付き高齢者向け住宅の賃料は近隣の賃貸物件が基準>
サービス付き高齢者向け住宅の賃料は、近隣にある賃貸物件(マンションやアパートなど)の賃料相場が基準となっていることが多いです。
そのため一般の賃貸物件と同じく、大都市などの人口が密集した地価の高い地域では賃料が高くなり、地方都市や中山間地域など地価の安い地域では賃料が安くなる傾向があります。

毎月変則的にかかる費目

・介護保険自己負担分
・医療費・薬代
・おむつ代
・雑費(レクリエーション費、電話費)
・オプションサービス費

これらの費目は、入居される方の生活様式によって変動します。毎月どのくらいかかるのか、前もっておよその金額を計算しておくと安心です。
なお、「介護保険自己負担分」は要介護認定を受けて介護サービスを利用している方のみ発生します。

介護保険サービス費と自己負担額

介護保険の自己負担額
区分 利用限度額 自己負担額
要支援1 5万320円 5,032円
要支援2 10万5,310円 1万531円
要介護1 16万7,650円 1万6,765円
要介護2 19万7,050円 1万9,705円
要介護3 27万480円 2万7,048円
要介護4 30万9,380円 3万938円
要介護5 36万2,170円 3万6,217円

※自己負担割合1割、1単位=10円の場合の金額
※上記額面は30日換算で算出した金額

介護度が高くなるにつれて、自己負担額も高くなっています。
なお、介護型の介護サービス費は要介護度認定の段階ごとに規定された一定額を支払います。

<要介護度が上がると、費用も高くなる>
要介護度が上昇すると、介護保険サービスの利用量がどうしても増えてくるため、それに合わせて毎月かかる費用も増えてきます。
そのような場合は、別の介護施設への転居も含めて考えた方が結果として、費用を抑えることにつながります。

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